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Only you……
第8章 明 4
――……ら。あ……ら。
オレの体が軽く揺れた。ふわりとした感覚にみを委ねていたら、突然鋭い衝撃を額に感じた。
「痛っ!!!」
オレは文字通り飛び起きた。左を見れば、麻都が意地悪に微笑んでいた。
「い、今何したの……?」
恐る恐る尋ねると、麻都は右手の中指を親指に引っ掛けて輪を作った。そのポーズは間違いなく――。
「でこピンですか……」
オレはほんのり赤くなった額をさすりながら車を降りた。そして顔を上げて驚いた。
「どうした? 行くぞ」
数歩前から麻都が声をかけてきたが、返事は出来なかった。
目の前には、オレなんかでも名前を聞いたことがあるような有名ホテルが建っていた。
キョロキョロと辺りを見回しても他に特別レストランなどはなく、どう考えてもそのホテルに向かっているようだった。オレは途端に汗をかき始めた。
「ちなみに今日は泊まりだからね?」
目眩を感じた。
こんな高級そうなところに泊まって、オレがヘマをやらかさないわけがないと思った。今夜はきっと、緊張して眠れないだろう。