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Only you……
第8章 明 4
取り出したのは小さな箱。
「これからも――というか一生傍にいてくれないか?」
ドキン――。
オレの胸は高鳴った。顔が火照ってくるのが分る。それは酔いが回ったせいではなく、その言葉がまるで――。
「それって……あの」
「一般で言うプロポーズのつもり……」
麻都が頬を赤らめながら笑った。オレの瞳が熱くなって涙が浮かんでくる。視界がぼやけてきた。
「返事は?」
麻都の催促にはっとして顔を見た。
「……よ、よろこんで……」
だんだんと声が小さくなってしまった。おまけに震えていて。
「……左手、出して」
オレがそっと差し出すと、麻都はさっき取り出した白い箱を開け、キラキラと輝く指輪を取り出した。色はシルバー、よく見ると模様のようなものが掘り込まれていて、おしゃれだ。それを麻都がオレの薬指にはめてくれる。オレの手も、麻都の手も震えていた。
「やったー!!!!」
突然麻都がオレを抱き上げ、くるくると回った。オレは遠心力に耐えながら悲鳴を上げた。
「う、うわぁぁっ」
すとんと床へ下ろされると、オレはふらっとよろけた。すかさず麻都の腕がオレを支えてくれる。麻都は残っていたワイングラスを空にすると、再びオレを抱き上げた。オレは麻都の首へ両腕をゆるく回す。
「ねぇ……いい?」
それが何を指しているのか、一瞬理解できなかった。しかし、艶やかな麻都の瞳を見つめているとオレもうっとりとした気分になってくる。
オレは麻都の肩に顔を埋めると、小さく頷いた。