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Only you……
第9章 麻都 5
バンッ――。
「うわっ!!」
後方で勢い良く開け放たれたドアに動揺し、振り向く。そこには頬を桃色に染めながら息を弾ませているりんがいた。肩を大きく震わせながら呼吸を整えると、「遅れました」と呟いた。
「おはよう。準備はもういいのかい?」
「はい。お陰様で」
透真とりんの読めない会話に、俺は茫然と様子を窺っていた。割ってはいることも出来ずに飛び交う言葉を見つめている。
「じゃ、そういうわけで」
「は?」
今来たばかりだというのに、りんは鞄を抱えて帰ろうとした。俺は何が何だかサッパリ分からずにりんを呼び止める。透真が横でへらへら笑っている。
「え、何? どういうわけ? 俺省かれてんの?」
「ん? あぁ」
忘れていたとでも言い出しそうな相槌を打つと、りんはすっと体勢を立て直した。
俺の前に真っ直ぐに立ち、姿勢を正す。つられて俺も軽く髪を整えてみたりして。
「私、渥美りんは本日を持ちまして退社させていただくことになりました。今までお世話になりました」
さらさら台詞をなぞり一礼をすると「じゃ」と言って帰ろうとした。俺はハッと我に返り「何で退社すんだよ」と叫ぶ。
「寿退社です。式にはご参列ください」
今までに見たことない程満面の笑みで、そう答えた。
りんも結婚か。
幸せが2倍に膨らんだ気がする。
「うわっ!!」
後方で勢い良く開け放たれたドアに動揺し、振り向く。そこには頬を桃色に染めながら息を弾ませているりんがいた。肩を大きく震わせながら呼吸を整えると、「遅れました」と呟いた。
「おはよう。準備はもういいのかい?」
「はい。お陰様で」
透真とりんの読めない会話に、俺は茫然と様子を窺っていた。割ってはいることも出来ずに飛び交う言葉を見つめている。
「じゃ、そういうわけで」
「は?」
今来たばかりだというのに、りんは鞄を抱えて帰ろうとした。俺は何が何だかサッパリ分からずにりんを呼び止める。透真が横でへらへら笑っている。
「え、何? どういうわけ? 俺省かれてんの?」
「ん? あぁ」
忘れていたとでも言い出しそうな相槌を打つと、りんはすっと体勢を立て直した。
俺の前に真っ直ぐに立ち、姿勢を正す。つられて俺も軽く髪を整えてみたりして。
「私、渥美りんは本日を持ちまして退社させていただくことになりました。今までお世話になりました」
さらさら台詞をなぞり一礼をすると「じゃ」と言って帰ろうとした。俺はハッと我に返り「何で退社すんだよ」と叫ぶ。
「寿退社です。式にはご参列ください」
今までに見たことない程満面の笑みで、そう答えた。
りんも結婚か。
幸せが2倍に膨らんだ気がする。