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Only you……
第2章 明 1
もう一度目覚めたときは、隣からいい匂いがした。でも、全身がだるくて、とてもそっちへ向こうとは思えないまま目だけを開けた。
女が粥の入った器を差し出して「熱いからね」と言った。オレはなんとか起き上がり、器を受け取ると仕方なく食べ始めた。麻都と女がオレを見ているので、凄く食べにくい。
「……さっきよりは美味い」
ぼそりと呟いた。今度の粥は料理にこだわっているオレでも、美味いと思った。おそらく、女が作ったのだろう。あんなに不味い粥を作れるくらい器用な麻都には、到底できないだろう。
麻都は不満そうに膨れていたが、女が「大丈夫そうだから、私は帰ります」と言って立ち上がったので、慌てて送りに行った。オレは粥を食べ終わり、器を床に置くとまたベッドに潜った。
「君、男のコなの?! ……へぇ、でもいいや。いくらでヤらせてくれる?」
そう言われてオレはトコトコオヤジについていった。別に男に売りをすること自体は抵抗ない。もういい加減諦めていた。オレはもともと同性愛者ではない。――というか、恋だの愛だのは未経験なので、分からない。
とにかくもう、金をくれるのなら、オレはなんだってした。
世の中、金が必要なのだ。