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Only you……
第2章 明 1
オレの朝はいつも遅い。早いときで10時、遅ければ夜中だったりする。
だから麻都――オレと同棲することになった奴は、いつもオレ宛の置手紙を残して出社する。汚い字で、時々意味がよく分からない部分があったりもした。でも、前に「俺作文とかホント駄目なんだよね」と言っていたから、ちょっとは目をつぶってやったりもする。時々文句も言う。
オレと麻都が一緒に住み始めて、もう今日で1ヶ月。
はっきり言って、こんなに長持ちするとは思わなかった。オレ自身もそうだけど、何よりも麻都が、オレに飽きてしまうのではないかとビクビクしていた。オレが前に住んでいたアパートはもう出てしまって、荷物なんかもこの部屋にあるし、売りをやっていないオレには金がなかった。
そしてこの1ヶ月間、オレは一度も外に出ていない。いや、ベランダには出たけど。
朝から晩まで、麻都を待ちつづけるのは退屈だった。退屈って疲れるんだと、初めて知った。
朝起きて、ぼーっとして、掃除して、洗濯して、夕飯の下ごしらえして、そしたらもう、オレがやるべきことはなくなってしまう。それからはただ、退屈な時間。
麻都には料理をするだけでいいと言われている。だから掃除や洗濯までやるオレは、一応感謝されている。――でも、本当はどうなんだろう? 一緒に住んでいるのだから、それくらいは当たり前なんではないだろうか? 麻都は働いているわけだし……。
そう考えると、オレは自分の不甲斐なさにイライラしてくる。麻都はオレなんかと住んで、何が楽しいの? いつもにこにこしてて、オレはその笑顔に逆に不安になってくる。
そんなことを思いながら、オレはリビングにあるソファーの上で体育座りで膝を抱えたまま、ころんと転がっていた。暇すぎて死にそうだ。何もすることが無いなんて、こんなに苦しいことなんだ。
まだ麻都が帰ってくるまで、5時間もある。
そんなふうに麻都のことばかり考えている自身が嫌になって、頭をかきむしった。そして溜息をついてまた丸くなる。するとうとうとしてきた。最近寝すぎ。そのせいで体はいつもだるかった。