この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Only you……
第1章 麻都 1
ガチャ――
風呂上り、牛乳でも飲もうかと冷蔵庫を開ける。あいにく、品切れだった。
肩にかけていたタオルで髪を拭き、ソファーでお気に入りのCDでもかけようかと思ったその時――ガンガンと玄関の扉を叩く音がした。
こんな夜に?
今夜はアイツを買っていないのに?
不信に思いながらも、ドアを開けた。すると、まるで雪崩のように1人の人間が転がり込んできた。
「助けて!!」
それは紛れもなく、アイツだった。いつも、俺に体を売っている、アイツだった。
アイツ――野沢 明(のざわ あきら)――は狂ったように助けてと叫びつづけ、俺 ――架上 麻都(かがみ あさと)――にしがみついていた。
「殺される! オレきっと殺されるっ!」
明の体には無数の生々しい傷が血を流していた。身体中泥だらけで、なぜかズボンを穿いていなかった。そして、所々には白い液体が、真新しく飛び散っていた。
「殺、さ、れる……」
涙を流しながら、明は、俺の足元にうずくまっていた。体は震えていて、やけに小さく見える。
「……とりあえず、中、入るか?」
明が怖がるので、玄関の鍵を閉める。俺は明の肩を抱きながら、居間へと連れていった。
明の顔は真っ青だ。目は血走っていて、幽霊でも見たかのようだ――いや、それ以上か。
「風呂……俺が使った後だけど、入るか?」
泥と血の混ざり合ったものが、大量に付着している明の体は、見ているこっちが目を背けたくなるほどに痛々しいのだ。
「石鹸は使わない方がいい。着替えはアンタが入った後に置いておくよ」
俺は、また明の肩を抱いて、狭い風呂場へと連れていった。俺が支えていても、明の足取りはおぼつかない。とても不安定なのだ。
明がふらふらと服を脱ぎはじめたので、心配だったがその場を離れ、着替えを用意してやることにした。明よりも俺の方が10センチ以上背が高いので、服はどれも大きいだろう。
ハーフパンツと白いTシャツを準備した。浴室の方からは、シャワーの音だけが聞こえてくる。
風呂上り、牛乳でも飲もうかと冷蔵庫を開ける。あいにく、品切れだった。
肩にかけていたタオルで髪を拭き、ソファーでお気に入りのCDでもかけようかと思ったその時――ガンガンと玄関の扉を叩く音がした。
こんな夜に?
今夜はアイツを買っていないのに?
不信に思いながらも、ドアを開けた。すると、まるで雪崩のように1人の人間が転がり込んできた。
「助けて!!」
それは紛れもなく、アイツだった。いつも、俺に体を売っている、アイツだった。
アイツ――野沢 明(のざわ あきら)――は狂ったように助けてと叫びつづけ、俺 ――架上 麻都(かがみ あさと)――にしがみついていた。
「殺される! オレきっと殺されるっ!」
明の体には無数の生々しい傷が血を流していた。身体中泥だらけで、なぜかズボンを穿いていなかった。そして、所々には白い液体が、真新しく飛び散っていた。
「殺、さ、れる……」
涙を流しながら、明は、俺の足元にうずくまっていた。体は震えていて、やけに小さく見える。
「……とりあえず、中、入るか?」
明が怖がるので、玄関の鍵を閉める。俺は明の肩を抱きながら、居間へと連れていった。
明の顔は真っ青だ。目は血走っていて、幽霊でも見たかのようだ――いや、それ以上か。
「風呂……俺が使った後だけど、入るか?」
泥と血の混ざり合ったものが、大量に付着している明の体は、見ているこっちが目を背けたくなるほどに痛々しいのだ。
「石鹸は使わない方がいい。着替えはアンタが入った後に置いておくよ」
俺は、また明の肩を抱いて、狭い風呂場へと連れていった。俺が支えていても、明の足取りはおぼつかない。とても不安定なのだ。
明がふらふらと服を脱ぎはじめたので、心配だったがその場を離れ、着替えを用意してやることにした。明よりも俺の方が10センチ以上背が高いので、服はどれも大きいだろう。
ハーフパンツと白いTシャツを準備した。浴室の方からは、シャワーの音だけが聞こえてくる。