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Only you……
第2章 明 1
「だって……」
気が付くと自然に言葉がこぼれていた。
「ん?」
麻都が静かに相槌をうつ。
「だって、麻都がいなくなっちゃう……」
「はい?」
「だって、オレ、全然役に、たたない、し。麻都は、オ、レに、きっと飽き、ちゃうっ」
しゃっくりのせいで上手く喋れない。でも、自然と出てきた言葉は、恐ろしいくらいオレの本音だった。
自分の気持ちを誰かに話すなんて、何年ぶりだろう? ――いや、生まれて初めてかもしれない。
「……いなく、なちゃう」
麻都はまた「ばーか」と言うと、オレの背中をさすった。しだいにしゃっくりは収まり、涙も底を尽いてきた。
「明を置いてなんて、いなくなれないよ。心配で心配で」
「でも! あの人、いるじゃん、麻都には……」
オレはあの日――オレが寝込んでいた時に来た女を思い出して言った。
あれはきっと麻都の恋人でしょ? 仲良さそうで、家にだって何度も来ていたみたいな感じだったし。男のオレなんかよりも、女の所へ行くに決まってる。