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Only you……
第2章 明 1
「だ、だって、会社は? 行かなくていいの?」
早口にまくしたてる。
「あのねぇ、今日も出社しろと言うのかい?」
「へ?」
頭の上に、沢山のクエスチョンマークが浮かんでは消えた。
「今日はぁ、日曜日!」
あれ?? あれれ???
「そうだったんだ……。曜日感覚ないや」
照れ隠しに言い訳をしてみると、やっぱり笑われた。
「なぁ、出かけない?」
オレはその言葉に驚きすぎて、心臓が口から飛び出るかと思った。
なぜならオレは、外に出るのが怖いから。オレの周りは敵ばかり。外にはあいつらがいるかもしれない。オレを襲ったアイツラが……。
「引っ越そうかと思ってさ。部屋見に行かないか? めぼしはつけてあるんだ」
硬直しているオレを麻都は撫でた。
「引っ越したらさ、少しは外、出れるようになるんじゃないか?」
見上げた麻都の顔はにっこりと微笑んでいて、オレの心をいろんな意味で揺さぶった。
「……いいよ。行く」
そう言うと、いつまでもオレの髪を撫でている手を払いのけ、寝室へと着替えに行った。