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Only you……
第2章 明 1
麻都の車に乗るのは初めてだった。真っ赤なスポーツカー。車種なんかは分からない。オレは別に車に詳しいわけではないし。
タクシーみたいに後ろに乗ろうとしたら、「違うだろ?」と言われ、半ば強制的に助手席に座らされた。シートベルトなるものを着けるように指示され、カチャリとはめる。麻都がそれを確認すると、車はマンションの地下駐車場から出発した。
「俺はさ、会社の近くに住みたいんだよね」
「……うん」
楽しそうに話す麻都に、オレはつまらない相槌しかうてなかった。
これから見に行くマンションなんて、オレはただの居候なだけだから、大した関係ないだろう? きっともうすぐ飽きるんだ。好きだとか、今は簡単に言うけど。
「……どうした? 気分悪い?」
いつまでもうつむいているオレを、麻都は信号で止まった隙をついて覗き込む。
オレは「何でもない……」と言うのが精一杯だ。
麻都はそれに納得したのか、それとも信号が変わったからなのか、顔を引っ込めた。