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Only you……
第1章 麻都 1
一瞬、その言葉の意味が分からなかった。『あいつら』なんて奴と、手を組んだ覚えもない。
「落ち着けよ。俺だってプライド持って生きてるんだ。無理にお前を襲ったりしない! 誓えるさっ」
俺の言葉に明は一瞬動揺し、動きが止まった。そして、歯を食いしばり、我慢していたものが、一気に溢れた。次から次へと、明の頬を伝っていく。
「……っ」
「我慢なんてしなくていい。泣きたい時には、泣けばいいさ」
明はその場に崩れ落ちた。そして、床にうずくまったまま、泣きつづけていた。
気の済むまで、涙を流せばいい。俺は思った、感情を押し殺す意味はあるのだろうかと。
明の身に何があったのか、俺には大体の予想がついていた。前々から、明のことを良く思っていない奴だっていたし、客から大金を巻き上げているという話も耳にしたことがある。どこまで本当かなんて、さっぱり分からない。分かっているのは、俺が明を好きだということ。
明を傷つけた奴らを、俺は許さない。
心で誓った。最愛の人物をここまで傷つけ、悲しませた奴らをこの手で――。
「俺のベッドを使いな」
「あ、んたは? どう……する、んだよ」
身体中が痙攣を起こし、上手く喋れないようだ。途切れ途切れに言った。
「俺のことは心配なく。ここに布団でも敷くよ」
俺は軽く笑ってみせた。心配かけないように。
「立てるか?」
ゆっくりと立ち上がろうとする明。まだふらふらしている。俺は肩を組ませ、寝室へと連れていった。