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Only you……
第4章 明 2
麻都がときどきしか帰ってこなくなったのを知って、それでも待っていた。いつ本当に帰ってこなくなるのか、その恐怖がオレを締め付けた。それでもオレの方から離れてゆくようなことは出来なかった。
――なぜ?
――分からない……。
不思議だった。自分というものにこんなにも疑問を抱いたことはないと思う。今までのオレだったら、逃げられる前に逃げていた。相手の背中を見つめるのは、もうこりごりで、独りぼっちを認識しなくてはならないから。
なのに今回はどうだ。
どうしてか、自分からこの場を去ってゆくことが出来ずにいる。オレがいなくなっても、きっと麻都は気付かない。気付いても追ってこないだろう。どうしてこんなことになったんだろう。
オレなんかよりもよっぽどセックスが上手い相手でも見つけたのかもしれない。
オレははっきりいって床上手じゃないし。プロだけど、それはテクニック故に...というわけではない。この女みたいな顔が、相手をそそるだけ。
コンプレックスでしかない女顔。