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Only you……
第4章 明 2
ガラガラ――。
再び扉が開く音がした。差し込む月明かりが強くなる。
また仲間が来たのだろうか。
「な、なんだ、お前は!」
男の1人が声を荒げて叫んだ。
「そっちこそ、この倉庫は俺の所有物なんだけど?」
聞いたことがある声がする。その懐かしさに、なぜか涙が流れた。そして、もう限界だと思っていた体に、再び力が出てくる。
静かに痛む体を起こし、明かりの差すほうに目をやる。
そこにはやはり、予想通りの人物がいた。そして、がちっと目が合う。
「明っ!!」
「あ、さ……と」
「明っ!」
麻都の声が聞こえる。眩しいほどの月明かりを背負って、かけてくる麻都が見える。
オレは再び、その場に崩れた。麻都が視界に映ったのは目の錯覚かもしれない。そうとう参っていた。
――はぁ、ありえない……。
――人生で3回もレイプされるって……。
運があるとかないとか、そうレベルではないくらいにありえない。珍しいとかそんな問題じゃない。
――もう慣れっこのはずなのになぁ、こういう状況。
それなのになぜか、胸が痛むのはどうしてだろう。初体験だって、麻都のうちに転がり込む前だって、今と同じ状況だったのに。今だけ胸が痛むのはなぜだろう。
怒りや悔しさよりも、外出してしまったことへの後悔と麻都に見られてしまった悲しさで身が千切れそうだった。
ガツン――。
激しく何かがコンクリートの地面に叩きつけられる音がした。痛む首をゆっくりと回せば先には、鼻から血を流しながら倒れている男と、物凄い形相でそれを睨みつける麻都がいた。
そして麻都はキッっとオレの傍にいた男どもを睨み、じりじりと歩み寄ってきた。
男たちは1歩、1歩と下がってゆく。
ふわり――。
暖かいものがオレを包み込んだ。