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Only you……
第4章 明 2

 バラララララララ――。

遠くでヘリコプターの音がした。そしてそれは、どこかへ飛び去るのではなくだんだんとこちらへ近づいてくるようだった。

さらに聞こえてきたスピーカーの音。

『あぁさぁとぉ、どこだぁー!!!』

オレは唖然とした。それはみな同じだったようだ。――麻都を除いて。

「……あのバカ親父が」

麻都がそう呟いたと同時に、倉庫の扉が開けられた。その先にはあの渥美 りんさんが仁王立ちしていた。

「副社長、緊急事態ですか?」

冷静な面持ちで尋ねてくる。それに対し、麻都は「見りゃ分かるだろ」と答えた。

「だそうですけど?」

りんさんは外に向かって大声を張り上げた。外では相変わらずヘリコプターの音がしている。

『透真、助太刀してこい。忙しいらしいぞ』

スピーカーの男は誰かにそう命令した。

するとヘリコプターのドアが開き、はしごが下げられた。そこをつたって1人の男が降りてきて、途中で飛び降り、綺麗に片膝をついて着地した。

「僕までかりだされてしまったよ」

ハハッっと苦笑しながら、透真と呼ばれた男は麻都に笑いかけた。こんな状況なのに、それには少し腹が立った。

「なんでここに?」

「麻都くんが貴正との電話を突然切るから悪いんだよ。通じなくなったって怒るんだ」

やれやれといった風に肩をすくめた。

「警察ならもう呼びました。この距離なら5分とかからず来るでしょう」

ドア口でりんさんが腕時計を見ながら言った。

――警察。

オレはその言葉に反応する。

――警察に行けば、何もかも話さなきゃいけなくなる。

オレには話したくない過去がある。

――全部言わなきゃならないの……?

それはまだ辛かった。
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