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Only you……
第4章 明 2
オレはてっきり、いきなり警察署に連行されるんだと思っていた。ある程度の覚悟もしていた。
でもそれは、あっさりと裏切られた。
数台のパトカーと一緒に来た救急車に、オレと麻都は担ぎこまれ、否応なしに救急病院へと搬送された。慌しく医者や看護婦が行き交い、ぱたぱたと足音が夜でも明るい廊下に響いてた。
オレは左側頭部に傷を負っていたらしく、消毒しガーゼを当てられさらに包帯も巻かれた。打撲は全身に広がっていて、体を動かすたびにズキズキと痛んだ。
病室で一息つくと、麻都のことが頭をよぎった。さすがにあれくらいでは命に関わることはないだろう。でも、ナイフが突き刺さっていた。
――それも、オレのせいで……。
きゅっと胸が痛む。
――大したことなければいいのに。
――刺されたのがオレだったらいいのに。
そんなことを考えていると病室のドアがノックされた。あまりに聞きなれない音に、一瞬何の音なのかと驚いた。
「は、はい」
返事を返せばドアが開けられ、いかにもな感じの人たちが入ってきた。
「野沢 明さんですね。お話をお伺いしたいのですが」
「……はい」
オレは刑事の方を見ることが出来ず、うつむいて自分の手元を見たまま今にも消えてしまいそうな声で何とか答えた。