この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Only you……
第5章 麻都 3
軽く触れるだけのキスから、だんだんと深いものへと変えてゆく。明の全身の力が抜けてゆくのが分かった。
唇を舌でなぞり、吸い上げる。歯の間に舌を進め、奥で怯えている明のそれに絡めてゆく。
腕を明の腰に回し、ぐっと近寄せる。
何度も角度を変え、唇を、舌を絡めてゆく。どちらのともつかない唾液が頬を伝った。
「……はぁっ」
唇を離して見詰め合えば、うっとりとしたうつろな目を向けてくる。
「ねぇ……ずっと傍に――」
明はそこで言葉を切った。まるで、それ以上先を言ってはならないかのように。
俺は続きを待ったが、いつまでも出てこないので首筋にキスを落とした。
そして、今までタブーとされてきた明の胸に手を這わせる。
「やっ……」
俺の手を慌てて押しのけて、必死に抵抗してきた。
「なんで?」
できるだけ優しく尋ねた。明はしばらく俺の目を見ていたが、ふっと視線を落とすと消え入りそうな震える声で言った。
「オレを、嫌いにならないで……」
「大丈夫だよ。俺と明が引き合うのは運命だから……」
「……うん」
こつんと俺の胸に額を押し付けながら、かすかに頷いた。
「じゃあ、聞いて……オレの話」
明の拳は硬く握られていた。
ついにきたのだ、明の心の闇に触れる瞬間が――。
――明の心に、触れる。
明はおもむろにセーターを脱ぎ、その下に着ていたシャツのボタンを外す。
――……えっ?
俺は驚愕した。
露になった明の体を覆うそれは――。
無数に刻まれた、生々しい傷跡だった。