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Only you……
第5章 麻都 3

軽く触れるだけのキスから、だんだんと深いものへと変えてゆく。明の全身の力が抜けてゆくのが分かった。

唇を舌でなぞり、吸い上げる。歯の間に舌を進め、奥で怯えている明のそれに絡めてゆく。

腕を明の腰に回し、ぐっと近寄せる。

何度も角度を変え、唇を、舌を絡めてゆく。どちらのともつかない唾液が頬を伝った。

「……はぁっ」

唇を離して見詰め合えば、うっとりとしたうつろな目を向けてくる。

「ねぇ……ずっと傍に――」

明はそこで言葉を切った。まるで、それ以上先を言ってはならないかのように。

俺は続きを待ったが、いつまでも出てこないので首筋にキスを落とした。

そして、今までタブーとされてきた明の胸に手を這わせる。

「やっ……」

俺の手を慌てて押しのけて、必死に抵抗してきた。

「なんで?」

できるだけ優しく尋ねた。明はしばらく俺の目を見ていたが、ふっと視線を落とすと消え入りそうな震える声で言った。

「オレを、嫌いにならないで……」

「大丈夫だよ。俺と明が引き合うのは運命だから……」

「……うん」

こつんと俺の胸に額を押し付けながら、かすかに頷いた。

「じゃあ、聞いて……オレの話」

明の拳は硬く握られていた。

ついにきたのだ、明の心の闇に触れる瞬間が――。

――明の心に、触れる。

明はおもむろにセーターを脱ぎ、その下に着ていたシャツのボタンを外す。

――……えっ?

俺は驚愕した。

露になった明の体を覆うそれは――。




無数に刻まれた、生々しい傷跡だった。
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