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Only you……
第5章 麻都 3
――オレね、両親の顔、知らないんだ。家族なんていなかった。赤ん坊の頃に公園のベンチに捨てられてたらしい。ダンボール箱に詰められて……。その近くにあった施設で育てられたんだ。
――施設?
――そう。そこには何らかの事情で親のいない子が沢山いた。オレなんかにも、何人か友達がいたんだ。でもね、この顔だから女の子に間違われることもしょっちゅうで、声変わりする前はほんと大変だったんだ。
――声は別に女に間違いそうにないしな。
――……まぁね。そこでは衣食住に困ることはなかった。その歳になれば小学校にも行かせて貰ったしね。普通の生活をしたんだ。
――うん、それで?
――……でもね。違った。初めから違ってたわけじゃないと思うけど、気付いた時には遅かった。オレはもう、逃げられない状況だったんだ。
――……?
――ある日、オレは施設の廊下でレイプされた。
――!!!
――小学生だったんだ。まだ4年生だった。オレのこと脱がすまで女だと思っててさ。それでそのまんま犯られた。もちろん、初めてだったよ。
――…そんなことが、あったのか……。
――……そんな悲しそうな顔、しないで。それでさ、レイプされて気を失ったオレは廊下で倒れてたんだ。そしたらそんなオレを誰かが保健室まで運んでくれたんだ。……でも、次の日、オレが男に襲われたって話は職員全員に知れ渡ってた。
――そいつが……広めた?
――それは分からない。けど、それからは友達にもなんだか冷たい目で見られるようになって、オレは独りになった。それだけなら、まだよかったよ。でも……。
――……でも? まだ何か……。
――汚いって、虐待されるようになった。