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Only you……
第5章 麻都 3
俺は明の振るえる肩を抱いた。少しでも過去の恐怖から逃れられるように。
明は俺の目を見ると、「大丈夫」と言って涙を浮かべた目で笑った。そして続きを語るのだ。
――虐待は日に日にエスカレートしていった。始めは悪口、それから暴力へ。煙草の火を押し付けられたりなんて日常茶飯事だった。もう痛みの感覚が麻痺するほど、オレはボロボロだった。
――明……。
――だから、そんな顔するなってば!
――悪い……。それで……?
――暗くなっていったオレは学校でも虐められるようになって、通えなくなっていった。担任にも、悪い意味で一目置かれるようになった。実質、オレが学校に通っていたのは小学校の5年生くらいまでだよ。
――……。
――それからは監禁生活になって、与えられるものは必要最低限の食事。そして、年上だった施設の奴等には体を求められるようになった。そういう盛りだったっていうか、なんというか。あと、お金とかも要求されるようになって、払えないなら体で払えとか言われたなぁ。それが、アイツらだよ。
――アイツら? って誰?
――前にオレが帰ろうとした時、現れた……。
――あ、あいつらかっ!! 明が倒れた時の?! 畜生……。そうと分かっていれば半殺し……いや、殺してたのにっ!
――……それはさすがに駄目だよ。気持ちは嬉しいけどさ。オレは施設を飛び出したんだ。もう近いうちに殺されると思った。周りの全てが怖かった。でもお金がなかった……。
――それで、売りってわけか。
――うん、それしか出来なかった。恐喝は相変わらずで、生活費もなにもなかったし、オレには何より、教養がなかった。中卒の経歴すら本質的には持ってないんだ。
――就職は……できなかったんだろうな。
――ハハ、まぁね、そんな選択肢すら浮かばなかった。人の多いところは、とりあえず怖かったし。なるべく避けるようにして、男娼を始めた。客は絶えることなかった。