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Only you……
第1章 麻都 1
「副社長。本日、徳田タイヤの方からお食事のお誘いがきておりますが、どうなさいますか?」
「お断りぃ~」
俺は回転椅子をぐるぐる回しながら、だらしなく返事した。俺に質問してきたのは、専属秘書の渥美 りん(あつみ りん)だ。真面目で積極的、頭も切れるなかなか信用のおける人間だ。長い間、俺のパートナーをやっている。
「では何とお断りいたしましょうか?」
聞く前から、俺が断ることは予想していたのだろう。すぐに聞き返してきた。
「ん~。むっさいオヤジじゃなくて、若くてきゃわゆい女の子か、ぴちぴちの清潔そうな男の子なら行っても良いよって言っといて」
俺はバイだ。男だろうと、女だろうと、恋愛対象となるのだ。そんな俺の性癖はりんだけでなく、社員全員が知っている。ま、これには色々とおかしなわけがあったりするのだが……。
ルルルル――
丁度電話が鳴った。おそらく徳田タイヤのおっさんだろう。
「はい。はい、その件ですが、副社長は本日大切な用事がございますので、またということで。はい。では失礼します」
がちゃりと電話を置く。りんは断りなれている。なぜかって、俺がいつも断るからだ。
「では、失礼します」
そういうと、りんは部屋を出ていった。カツカツとハイヒールを鳴らしながら。
俺は大きく伸びをすると、目の前の書類に取り掛かることにした。
「しゃーねーな」