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Only you……
第5章 麻都 3
「副社長。今日は随分とごゆっくりでしたね?」
「……嫌味か、それは」
「それ以外の何に聞こえました?」
下がった眼鏡を片手で直しながらりんは言った。
俺は玄関で待っていたりんに、朝っぱらから説教されている。――いや、嫌味を言われているだけだが。
遅刻はしなかったのに、あんまりの仕打ちだ。
部屋に入ればむすっとしたりんに資料を押し付けられた。
「名誉の負傷をされた副社長のために、私が少し手を加えておきました」
「……そりゃどーも」
どうやらりんの機嫌は、ちょっとやそっとじゃ治まりそうにない。俺はため息をついた。
ルルルルルル――。
電話のベルが鳴り響く。俺は反射的に受話器を上げた。不機嫌なりんの機嫌を立て直すためにも、電話くらいは出ておかなければと思ったせいかもしれない。
「もしも――」
俺がそういい終わる前に、電話は既に切れていた。
――イタ電……?
よくありがちな、受話器を上げた途端に切れるあれに間違いなかった。そして、こんなことする奴は――。
「ちょっと行ってくる!」
俺はぷんすか怒りながら、部屋をでた。
後ろでりんがひらひら手を振っていた。
「ゴルァ! くそオヤジっ」
俺は社長室のドアをノックもせずに開け放つと叫んだ。
中では受話器を上げ、番号を押す寸前で止まっている社長――おっさんがいた。
「……嫌味か、それは」
「それ以外の何に聞こえました?」
下がった眼鏡を片手で直しながらりんは言った。
俺は玄関で待っていたりんに、朝っぱらから説教されている。――いや、嫌味を言われているだけだが。
遅刻はしなかったのに、あんまりの仕打ちだ。
部屋に入ればむすっとしたりんに資料を押し付けられた。
「名誉の負傷をされた副社長のために、私が少し手を加えておきました」
「……そりゃどーも」
どうやらりんの機嫌は、ちょっとやそっとじゃ治まりそうにない。俺はため息をついた。
ルルルルルル――。
電話のベルが鳴り響く。俺は反射的に受話器を上げた。不機嫌なりんの機嫌を立て直すためにも、電話くらいは出ておかなければと思ったせいかもしれない。
「もしも――」
俺がそういい終わる前に、電話は既に切れていた。
――イタ電……?
よくありがちな、受話器を上げた途端に切れるあれに間違いなかった。そして、こんなことする奴は――。
「ちょっと行ってくる!」
俺はぷんすか怒りながら、部屋をでた。
後ろでりんがひらひら手を振っていた。
「ゴルァ! くそオヤジっ」
俺は社長室のドアをノックもせずに開け放つと叫んだ。
中では受話器を上げ、番号を押す寸前で止まっている社長――おっさんがいた。