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Only you……
第6章 明 3
ぱたんっ――。
ドアの閉められた音が妙に響く気がする。オレは無償に寂しくなった。今はもう、人の暖かさを知ってしまったから、1人では寒かった。
白い壁を見つめて、嘆息する。
――麻都はオレなんかのどこがいいんだろう?
あの時は運命なんて言われたけど、はっきり言って、オレはそういうものを信仰しているタイプではない。オレが麻都に恋をしているのは、必然ではないんだと思っている。全ては偶然だったと。
それでも理由が欲しかった。格好良くて、間違いなくモテるであろう麻都と、男に体を売る男娼なんてしていた教養もないオレが、つりあうなんて到底思っていない。
だからこそ、理由が欲しいのだ。オレが麻都の隣にいてもいい理由を。
――なーんて、都合いよな……。
一緒にいたいがために後から理由をこじつけるなんて、都合がいいにも程がある。愚かな自分が情けなかった。
がちゃり――。
再びドアが開けられた。その奥から麻都がひょっこりと顔を出す。
「じゃ、行ってくるから」
びしっと敬礼をしている麻都に、オレは笑顔でひらひらと手を振った。
麻都はオレのどこがいいんだろうなんて、ぐるぐると考えるうちに、睡魔がやってきて、オレはもう一度静かに目を閉じる。
そうして暗闇の中に吸い込まれていった……。