この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Only you……
第6章 明 3

それはお昼頃のことだった――。


 ルルルルルッ――。

電話の呼び鈴がけたたましく鳴り響いて、オレはソファから飛び起きた。バクバクいっている心臓に手を当てて落ち着かせると、恐る恐る受話器を上げる。

麻都からの電話なら、問題はない。でももしそれ以外からのものなら、オレは緊張のあまり倒れそうになる。極度の上がり症のようだった。

「も、しもし……」

緊張して声が上ずった。

『もしもし?』

受話器の向こうから聞こえてくるそれは、間違いなく麻都の声だった。オレはほっと胸を撫で下ろす。

「どうした? 残業?」

『あ、いや』

妙に焦ったような、いつもと違って落ち着きが感じられない。

『俺の仕事部屋の机の上に、もしかして、A4サイズの茶封筒乗ってない?』

恐る恐る、といった感じで尋ねてくる。オレは「ちょっと待ってて」と言うと、急いで確認に向かった。普段は入ることの許されない麻都の部屋は、麻都の香りで満たされていた。

そんな空気に浸っている暇もなく、机へと視線を向ける。と、そこには――。

――あった……。

A4がどの程度の大きさなのか分からなかったが、とりあえず結構大きめの封筒があることは分かった。オレはそれを手に、仕事部屋を出た。

「あったよ? オレの顔くらいの封筒が」

『うわー!! やっぱりかっ』

悲鳴にもよく似たものが、耳に飛び込んできた。思わずオレは受話器を耳から遠ざける。

『りん、あるって……』

その言葉はオレに向けられたものではなく、一緒にいるのであろうりんさんへのものだった。

『あ、明、今からそれ、りんに取りに行かせるから』

麻都の声は申し訳なさそうだった。どうやら忘れ物だったらしい。

『じゃあ』と言って切ろうとした麻都に向かって、オレは「あ、待って!」と叫んだ。

「あのさ、オレが届けるよ。ここから近いんだろ?」

『え、そりゃ、まぁ……』

オレは麻都のために何かを出来る、またとないチャンスだと思った。そのために忘れ物を会社まで届けに行こうと決意した。
/177ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ