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僕たちはこの方法しか知らない(BL短編集)
第1章 Like A Cat

「たぶん、大丈夫だと思うんだ……」

ヤツは俺の胸に頬を摺り寄せて、どこか恥ずかしそうに言う。腕は俺の腰にしっかりと回されていた。

「オレね、恋人の意味わかっちゃった」

いたずらっ子の表情で俺を見上げる。頬赤く染まっていた。

「前に言ってたこと……まだそう思ってくれてる? オレ、の、恋人になりたいって……」

「ああ」

俺が答えるとヤツは俯いて耳まで真っ赤に染めた。そうなのか。主従関係がヤツの中で解消されたから、ベッドの上での言葉遣いや態度まで変わったのか。

俺はヤツの顎を掴んで少し強引に上向かせると、その薄くて柔らかな唇に自分のものを重ねた。角度がキツいのか口を半開きにさせて酸素を求めるヤツの舌をそのまま優しく吸う。何度も角度を変えるとヤツの口角から互いの唾液が混ざり合ったものが零れ落ちた。

「はっ、んぅ」

ヤツの後頭部に片手を沿えゆっくりと体を横たえる。その間も、時間を惜しむように唇を貪った。ヤツは時折苦しそうに呼吸しながらも、それでも少しも離れようとはしない。

俺は唇を離すとしがみついていたヤツが物足りなさそうな顔をしたので、思わず微笑んでしまった。そんな表情を見られる日が来るなんて思ってもいなかった。

「そんな顔しなくても、これで終わりなわけねーだろ」

親指で濡れて光る唇をなぞってやると、赤い舌でペロリと舐められた。そのまま口の中へ入れると嬉しそうに俺の指をしゃぶる。


胸が苦しい。

愛おしすぎて、胸が苦しい。


指はそのままに、俺はヤツの耳を食む。舌先で外枠をなぞり、徐々に内側へ。わざとらしく耳元で唾液を啜る音を立てたりすれば、ヤツは切なそうな声を漏らして震えた。

そのまま首筋へ降りしばらく堪能した後、ツンと立ち上がった突起のひとつへ到達する。そのころにはヤツはもう俺の指はしゃぶる余裕をなくしていた。

「はあっ……うッ」

片方を摘み、片方を舐める。摘んだ指に少しだけ力を込めて引っ張るとヤツの声はひときわ大きくなる。合わせて反対も甘噛みすれば、ヤツは俺の頬を両手で挟んで離そうとする。

「なに、やだ?」

「ちがくって、何か……変になりそうで」
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