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僕たちはこの方法しか知らない(BL短編集)
第2章 最後のチャンス

啓斗は微笑み自身の携帯を取り出すとカメラを自分たちへ向けて和幸の肩を抱いた。

その瞬間、和幸の体が硬直する。全身に異常に力が入り、見ただけで心臓がはち切れそうになっているのがわかった。啓斗からしてみれば可哀想なくらいだったが、そんな姿も写真に収めてみたい。

 カシャ――。

和幸が強張ったままシャッターを切った。そして少しだけ和幸の方を向く。

「緊張してるの……? 可愛いね」

「え?」

 カシャ――。

驚いた表情の和幸もゲット。だが、何枚写真を撮ろうが啓斗は満足するつもりはない。これは単なる小道具。本当に手に入れるつもりなのは和幸自身。

二枚の写真を撮ると、啓斗は和幸の肩を開放した。

和幸はというと、目を白黒させ、口は金魚のようにパクパク動かし、全身は茹で上がったばかりのタコのように真っ赤だった。

そんな和幸の様子にまるで気がついていないように、啓斗はいつもの優等生に戻ると今撮ったばかりの写真を眺めた。

「ねえ、山村くん、今の写真送るから連絡先教えて」

「ふえ? れ、連絡先……連絡先!」

「そ、ヤダ?」

嫌ならあっさり引き下がりそうな雰囲気を出して問いかける。和幸からすれば、それはずっと自分が言いたくて言えなかった、知りたくて知ることができなかったものだった。

「や、じゃないんだけど、俺の携帯充電切れちゃってて……アドレスとか自分の覚えてないんだよね」

どうしよう、と助けを求める表情で和幸は啓斗を見た。頭のいい啓斗なら、きっと何とかしてくれるんじゃないかと。

「うーんと、あれかな、僕振られてる感じ?」

携帯の充電がないとか、自分の連絡先を覚えていないとか、上手く教えたくない相手をかわすときの言葉だったと和幸はハッとする。目の前で啓斗は苦笑いをしていた。

「ち、違うんだ、ほんとに充電なくて、あの、ほら!」

ポケットから動かなくなった携帯を取り出し電源ボタンを押してみせる。

「それに、ほら、俺バカだから、アドとか初期状態のままでケー番の数字も090しか覚えてなくて……」

あまりに必死に弁解してくる姿に、もはや啓斗は我慢の限界を超えていた。思わず片手で腹を押さえて笑い出し、不覚にも目尻に涙まで浮かべてしまった。
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