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ラブ☆ファイト!!
第2章 に
汐留さんが納得しないまま、数日が経った。
類は、ああやってあたしのことを庇ってくれたけれど、やっぱり、気になるし……。
汐留さんや他の使用人の前では、きちんとした言葉遣いを心がけて、類のことは、類さまって呼ぶ事にした。
それは、はっきり言って、めんどくさいことだけど、仕方がないことだと、諦めた。
この家の中で、類だけが、あたしの本性を分かってれば、ま、いっか!っていう気持ちもあるし。
あれから類は、毎日のように、朝、あたしの髪をとかしに来るようになった。
どんだけあたしの髪が好きなんだよ、って、突っ込みたくなるよ。
「上手くなったな、類!」
「うん、玲の綺麗の為に、役に立ちたいから。」
「ありがとう!」
鏡越しに見つめ合うと、ドキドキした。
本当に、類は、綺麗な顔をしている。
「…あのさ、類……」
「何?」
言いにくい、だけど、約束したから。
嘘は、もう付かないって!
「今夜、遅くなっても、いい?」
「………」
類は、途端に無表情になった。
無言で、見透かすような瞳で、あたしのことを見つめてくる。
どうしてだろう?なぜか、悲しそうに見えるのは、気のせいか?
類はあたしのことを、特別だって言ってくれた。
だけど、このまま千秋の気持ちを引きずったまま、類とは一緒になれないような気がしたんだ。
うまく口で説明したいけれど、上手に言えないよ、バカでごめんな、類……。
「……決着、付けてくる!それじゃあ、ダメか?」
「…………」
また、無言かよ…。
こうなれば、泣き落とし作戦でどうだ!?
「お願いだ、最後の我が儘だと思って、今夜だけ!」
「………いいよ、オレは、あんたが誰を想っていても、それを咎めたりはしないって、言った!」
「うん、ありがとう!」
ふぅ、物わかりの良い、婚約者殿で、安心した!
そろそろ、湘南行きたくて、ウズウズしてたんだ!
「じゃあ、あたし、学校行ってくる!」
そう言って勢いよく自分の部屋を出ていったあたしは、その後、類がどんな顔をして、どんな台詞を呟いていたなんて、夢にも思わなかったんだ。
あたしは、類の正体を知らなさすぎたんだ…。
…