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ラブ☆ファイト!!
第3章 さん
バイクは脇道をすり抜けて、辻堂から湘南台へ秋葉台公園の駐車場でとまった。
夜間のプール利用者がいるのか、駐車場は半分くらい埋まっていた。
「ここまで来れば、大丈夫っしょ?」
栄介もあたしもメットを脱いで、改めてお互いの顔を見つめた。
明るい街灯の下で、よくみると、栄介は、つなぎを着ていた。
昼も夜も高校にはいかずに、どこかの整備工場で働いているみたいだった。
「変わって無いなんて、嘘だな。玲、スゲー綺麗になった!美人になりすぎだろ、なんだその長い髪は?」
「「勝手に伸びたんだよ!」」
「それにしたって、良く手入れしてそうな髪だな。その制服は、聖陵だろ?」
「そうだけど…」
「ふぅん、玲がお嬢様になったって話は、本当だったんだな!」
昔の仲間の栄介と、距離を感じたく無いのにな。
「……それよりも、あたし、さっき、栄介に千秋のところへ連れて行ってって、言った!」
「いや、それは、やめた方がいい!」
栄介は一言そういうと、自動販売機の方へスタスタ歩いて行ってしまった。
後を追うように、栄介の方へ行くと、途中に水のみ場があったので、水道で手にこびりついていた血を綺麗に洗い流した。
「……あ、ハンカチ捨てたんだった。」
「仕方ねーな、これで良かったら拭け!」
「え、首に巻いてあるタオルで?」
「文句あるなら、これやらねーぞ?」
栄介の手には、自動販売機で買ったココアがあった。
ぐぅぅぅっとお腹が鳴る。
そういえば、夕食食べてないや。
ココアがとても美味しいそうにみえた。
「ありがとう、栄介、何から何まで、助かるわぁー!」
「たく、ゲンキンな奴め!」
その後、ベンチに座って、ココアを飲みながら色んな話をした。
族が解散したときのことや、その後のこと。
聞けば、さっきボコボコにした奴らの言ってたことは、半分以上が当たってた。
でも今は仲間のほとんどが、足を洗って、まともに生きてるって!
それを聞いて、安心した。
「で、千秋は?今なにしてるの?」
再度あたしが千秋の話をふると、途端に栄介は、暗い顔をして、会わない方がいいと、言って来るのだ。
「あいつは、もう昔の千秋じゃねーよ!おまえがいなくなってから、変わった!!いや、元々ダメな人間だったのかもな。」
…