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ラブ☆ファイト!!
第1章 いち
「……寒い……」
季節は、初夏、夜はまだ冷え込む。
制服に身を包んだ肢体がブルッと震え、思わず鞄ごと体を抱き締めてしまった。
江ノ電から小田急線に乗り換えて、成城学園前で降りる。
時刻は、12時を回り、終電ギリギリで、一条院の門をくぐった。
母さんは、新しい父親とロスに住んでいて日本にいない。
だから、あたしがいくら遅くなっても、ここには心配かける人がいなくて良かったと、勝手に事項処理をする。
……今日も千秋にたどり着けなかった。そりゃそうだ。
あの頃持っていた携帯電話は、新しい父親に捨てられてしまったし。
せめて、当時の仲間に連絡つけれれば、良かったのに……
何を隠そう、今、あたしには、連絡手段がないのだ。
セレブなくせに、携帯電話も持たせてくれないなんて、どういうことだよ!くそ親父め。
其処らへんにある豪華な壺をひとつひとつ拳で、かち割りたくなった。
……ヤバい、それはやめておこう、さすがに寝静まってる気がする。
汐留さんに気がつかれないように、ソロリソロリと廊下を通ると、自分の部屋の前に佇む、類の姿があって、びっくりした。
「あ、類……」
びっくりし過ぎて、咄嗟に地声が出た。
‥