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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
掃除と表の戸締りとを終え、バックヤードへ向かう。軽くノックしてドアを開けると、椅子に浅目に腰掛けた真純が机に突っ伏していた。
規則的な呼吸が聞こえる。

……寝てる?

後ろ手に扉を閉め、鍵を掛けた。
すぐそばまで近付いて
「真純」
愛しいその名を口に乗せる。
ピクッと肩が揺れ、ゆっくり真純が頭を起こした。
「あ、お疲れ様です」
俺を見上げてふわりと笑う寝起きのような真純。無防備な笑顔に溶かされる。
頬を包むように手を添え、チュッと音を立ててキスをした。
「……ぅん」
甘えた声に誘われて、一度だけのつもりが二度、三度と口付ける。
「んっ……ふ、ぁ……」
小さな身体がふるりと揺れる。最後に舌を絡め、深く真純を味わった。
「は、ぁ……」
上体を起こすと彼女は俺の服に縋り付いていて
「もっとする?それとも帰る?」
トロンとした瞳に俺を映した。
「……もっと」

っ!?

ドクンと大きく高く鳴る。
思わず瞬きをして見つめ返した。

ねぇ真純、ここで俺を煽ってどうすんの?
本気でスル、よ?

一瞬浮かんだ妄想は
「やっ、帰ります!」
突如我に返った真純に阻まれる。

なんだ、残念……
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