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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
あ、マズッた……

ちょっと後悔して、でも右手は離せない。どうしようか迷っていたら真純ちゃんが小さく息を吐いた。

やっぱ調子に乗り過ぎたよな……

苦い思いで見つめる先で、長い睫毛が細かく震える。ゆっくり持ち上がった目蓋。
まるでスローモーションで見てるみたいに、真純ちゃんが顔を上げて俺を見た。
目尻の赤い潤んだ瞳。口角のキュッと結ばれたピンクの唇。

……はっ、真純ちゃん
何て顔、してんの?
思春期の男なめてる?
本気で襲う、よ?

真っ直ぐ俺を見上げる濡れた瞳に心臓を射ぬかれた。

……俺、このまま死ねる
いや、ダメだから

「どうして、俺に好きな人がいるか、聞いて下さったんですか?」
「そっ……それ、は……」
まるで心の揺れを表すかの様に揺れる瞳。
黙ってしまった真純ちゃんの右手をそっと下ろした。自由になった両手はそのまま膝の上で結ばれる。
「真純先生?」
名前を呼ぶと一瞬視線が絡んで、またテーブルの上に逃げていく。
「それ、は……さい、斎藤くんが……」

……俺が、何?

言葉を切られてもどかしい。

もう一回催促するのは焦り過ぎ?
……でも、気になる。
俺が、何だよ?
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