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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
見つめる先で真純ちゃんがもう一度、今度は少し長く息を吐いた。

な、何?

「さっ斎藤くんが、恋愛で悩んでるって言うから、気になって」
一気に言ってまた黙り込む。膝の上で両手をキュッと握り締めた。

うん、だから何で?
何で俺の恋愛が気になんの?

凄い勢いでドキドキ聞こえる心臓の音。
「どうして、ですか?」
重ねた問いに真純ちゃんが肩を小さく震わせた。
「……そっそれは……斎藤くんはだっ大事な生徒だし……斎藤くんでも、悩む事があるんだなって」

…………生徒、ね

あーそう、そーだよね

真純ちゃんの言葉は教師と生徒の関係でしかない俺たちには至極当然の事で。勝手に早とちりして期待した自分が恥ずかしい。
上がってた気持ちが一気に落ちる。

真純ちゃんがすぐ赤くなるのは今に限った事じゃない。反応が可愛いかったからって、舞い上がり過ぎた。

「……俺だって、悩みますよ」

どうやったら『大事な生徒』の中から『特別な男』扱いしてもらえんの?

「……斎藤くん?」
真純ちゃんが心配そうに覗き込んできた。

あ、やべ
スマイル、スマイル
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