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例えば、こんな...
第8章 女子高生と先生と #1
うちは県下でも有数の進学校で、彼女の前の学校もそれなりのランクの高校だった。編入試験の成績は教科によって大きく差があったのは、進度の違い。おそらく彼女はそれを埋める為にあそこにいる。
背中の中程まである栗色の長い髪を緩くまとめ、周りを遮断して参考書に向かってる。時々数学の教員室に行く事があるらしいが、ほぼ独学。それでも中間考査に比べ、先日の期末の成績は上がっていた。
残念な事に、化学の成績はそこそこイケていて彼女がここに来たことはない。
ふと、河合が頭を起こした。顔を巡らせた先に居たのは西園寺千佳。荷物を机に置いて河合と言葉を交わす。そして向かいの席に腰を下ろし、ノートを広げ始めた。

一緒に、するのか?

胸の奥がモヤッとしてチリッと焦げる。

……マジか

前々からうっすら気になってはいたが、改めて気付かされた感情に自分でも戸惑いの方が大きい。でも……

河合がノートに視線を落としたのち、西園寺が不意にこちらを見上げてきた。それは敵意の眼差し。
身動ぎせずに俺を睨み付け、その口角を意味深に引き上げる。

コイツ……

熱くなるのは気付いた感情が紛れもなく、本気だという証拠。
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