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例えば、こんな...
第8章 女子高生と先生と #1
偏頭痛は今に始まった事じゃない。稀(まれ)に今回の様な強烈な波が来て、何も出来なくなる。さすがにそうなると授業に差し支えるため、何度か保健室の世話になっている。保健医とはすでに顔馴染み。歳も向こうが三つ上なだけ。

在室を確認して眼鏡を外す。軽くノックして、返事を待ってドアを開けた。
「桐生先生、すみません。寝かせて下さい」
その時は結構な痛みに限界で
「一番奥、空いてますからどうぞ」
淡々と応じる桐生先生の言葉に、白衣を脱ぎ捨て真っ直ぐベッドに倒れ込んだ。

いってぇ……

「鎮痛剤要りますか?」
「お願いします」
「ちょっと失礼しますね」
「はい」
桐生先生の言葉の後に聞こえてきたのは男子の声。

……誰か居た?

記憶を探ろうにも、万力で絞められているかのような痛みにそれどころじゃない。
「お待たせしました」
差し出された錠剤を有り難く水で流し込み、再びベッドに横たわる
「今回はまた、辛そうですね」
「いつもスミマセン」
「後で一度席を外しますが、頭痛が落ち着きましたらお帰りになって下さい」
「はい。ありがとうございます」
お礼を伝えると、桐生先生は静かにカーテンを締めてくれた。
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