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例えば、こんな...
第8章 女子高生と先生と #1
「河合」
声を掛けて耳を澄ます。
「……河合?」
返事がない。
「入るよ?」

カーテンを開ける音がやけに大きく聞こえた。
「河合、体温計……」
声を掛けながらベッドに近寄って、さっきより赤く呼吸の荒い河合に

しまった……

布団で熱を籠らせてしまった事に気が付いた。剥がそうと手を伸ばして一瞬躊躇する。

いや、違うから

「布団取るよ」
声を掛けて布団を取った。
さっきよりも乱れた制服。足元にあったタオルケットを引っ張り出して覆い隠す。
「自分で熱、計れそう?」
うっすらと開いた目蓋。受け取ろうとするかのようにタオルケットの下で右手が動いて、途中で力尽きる。

何時に戻ってくるんだ?

連絡を取ろうとポケットに手を突っ込んで、携帯を教員室に置いてきた事に気が付いた。

…………

「河合、ごめん。熱計らせて?」
また僅かに開いた目蓋の下から、熱に潤んだ瞳が俺を見上げてくる。同意を示すように頷いて
「お願い、します」
微かに聞こえた掠れ声。
「ホントごめんね、ボタン少し外すよ?」
謝ってから、制服に手を掛けた。
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