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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
「河合先生?」
聞こえた黒田の声に、腕の中で真純ちゃんがビクンと大きく身体をすくませた。腕を突っ張り俺の腕から逃れようと身を捩る。
「しっ、動かないで下さい」
離したくなくて小さな声で制したけれど、当然真純ちゃんが止めるハズもない。もがく彼女をギュッと抱き寄せた。
「河合先生、いませんか?」
ガンッと音がして扉が揺れる。真純ちゃんがまたビクンと震えた。
「鍵?……もう帰ったってこと?」
もう一度ガンッと開けようと音がする。真純ちゃんが腕の中で小さく震えた。
「おっかしいな……」
呟いてまた、ガンッガンッと扉が揺れる。その度真純ちゃんの身体が震え、制服をギュッと握られた。

……もしかしなくても、怖がってる?

「靴残ってたよなぁ……」
不思議そうな呟きの後、パタパタと音を立てながら歩いて行く足音が聞こえてきた。意外と響くその音に違和感を覚える。

来る時足音消して来た?

疑惑の音が完全に聞こえなくなっても、真純ちゃんは俺の制服を掴んだままだった。小刻みに震える身体をそっと抱き締める。柔らかい髪を梳くようにして頭をなでた。
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