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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
どれくらいそうしてただろう。しばらくして真純ちゃんの肩から力が抜けた。小さく息を吐いて
「あの、ありがとう……ごめんね」
腕の中から見上げてくる。
余程怖かったのか、涙が滲んだままの揺れる瞳。俺に縋るような頼りない眼差し。

うっわ。やっべ
クル、その顔……

ドクンと高鳴った心臓。
こんな時、なのに……
「もしかして、黒田先生に困らせられてますか?」
「……」
黙って視線を落とされた。

それ、肯定してるよね?

密やかに近付いた理由に苛立ちが募る。

黒田の野郎あんなに怯えさせるほど何してんだよ。
本気で許されないんだけど……

「あ、の……大丈夫」
声が僅かに震えてる。
「大丈夫じゃありません」
「黒田先生は同僚だし、そんな酷い事は」
「怖いんですよね?」
何故か黒田を庇おうとする真純ちゃんに腹が立った。
「……」
少し黙って小さく頷く。また震えた華奢な身体。
「相談出来る人はいないんですか?」
真純ちゃんはギュッと目を閉じ、眉を下げて首を左右に振った。
「知られたくない、の」

何で?
被害受けてるは真純ちゃんで、多分誰がどう見ても黒田に悪い事されてんだろ?
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