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例えば、こんな...
第8章 女子高生と先生と #1
あー……ミスった

嫌がられて当然の事をしたくせに、零れた涙に胸がひり付く。
「ごめんね」
それでも伸ばす手は止められなくて。左人差し指の甲でそっと目尻を拭った。
「んっ……」
反射的に目を閉じ、河合が肩を竦める。でも
「だ、だいじょおぶ、です」
聞こえてきた小さい声は緊張はしていても、嫌悪している様には聞こえなくて。心底ホッとした。
涙を拭った手で頭を撫でる。河合は目を閉ざしたまま大人しい。
うっすらと開いた唇。そこから吐き出されるのは少し荒い呼吸。
「アイスノン、当てておこうか」
座った時に外れたそれをまた首筋に当てる。次いで脇にも挟ませて
「少し楽になると良いんだけど……」
願いが口を吐いて出る。
真純がゆっくり目蓋を開けて、俺を見上げた。
「ありがとうございます」
辛そうに見えるのに、柔らかな微笑み。ギュッと芯を掴まれた。

……戻れそうにない

また触りたくなって強く手を握ってそこに留める。
これ以上傍にいるのはマズい。
抑制が、効かなくなる。
「桐生先生が戻ってくるまで外にいるから。何かあったら声を掛けて?」
そう告げて立ち上がった。
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