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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
「皆が働きにくくなるのは……」
続いた言葉に納得する。

あぁ……そーいう事ね
まぁ確かに全員が真純ちゃんの味方じゃないだろうし、助けるどころかやっかむヤツとか色目で見るヤツいそうだもんな

職員室のメンツを頭に描いて、何人か思い当たる。
それは、確かに働きにくくなりそうではあるが。

「俺、動いて良いですか?」
「えっ……」
真純ちゃんが驚いたように俺を見上げ、すぐに首を左右に振った。
「ダメよ」
「真純先生に迷惑はかけませんから」
少し表情を和らげて頼み込んでも同じように首を振る。
「だめ。これは私の問題。斎藤くんは生徒なんだし、関係ない。関わっちゃだめ」
線引きして弾くような『生徒なんだし、関係ない』にカチンと来た。
「目の前で起こった事に、知らない振りは出来ません」
「……」
束の間黙り込んだ真純ちゃん。眉を寄せて、小さく息を吐く。
「駄目。何もしないで」
「同意出来ません」

「……でも、こんな事頼めな」
「良いです。むしろ頼んで下さい」
また黙り込む。しばらくして真純ちゃんが頭を下げた。
「……お願いします」
腕の中にすっぽり収まる小さな身体。
包み込むように抱き締めて
「もう、怖い思いは俺がさせませんから」
そう耳元で囁いた。
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