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例えば、こんな...
第8章 女子高生と先生と #1
まっすぐ駐車場に向かい、車に乗り込む。キーを差し込んで、閉ざされた空間にため息が吐いて出た。
ハンドルのトップに手を掛け、額を押し当てる。閉じた目蓋の裏に浮かぶのは帰り際に向けられた河合の笑顔。

赤く上気していた白い頬。熱に潤んだ瞳。薄く開いたふっくらとした唇。赤く濡れたそれがゆっくりと弧を描く。気だるげで儚い微笑みに心拍を乱された。

一度考え始めると、思い出されるのは河合の事ばかりで

触れた頬の滑らかさ。
熱く浅い吐息。
『さいと、せんせ……』
小さく俺を呼ぶ掠れた声。
華奢な身体は心配になる程軽い癖に、重なる場所のどこもが適度に柔らかくて……

三十分にも満たない接触でインプットされた情報。
恐らくは夢に見る。見たら、絶対……
さすがにソレはマズイ

女子高生相手に、何を懸想してるのかと自嘲して。
でも、河合の事をもっと知りたいと欲する自分がいる。

今日が木曜日で助かった。
迎えに来た兄が明日は休ませると言っていたし、少なくとも三日は河合に会わずに済む。
夢なんて見た日に会ったりしてみろ、足りない情報を補完したくなる。河合に触れてみたくなる。
そんな事は、許されない。
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