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例えば、こんな...
第10章 バカンス
まだ真っ昼間、しかも晴天の下にも関わらず、そこそこ深く侵食を果たすと
「んんっ、やっ」
真純が逃れようと身を捩る。
旅はこれから。
大人しく彼女解放して助手席のドアを開いた。まだここは、レンタカーショップの駐車場。
真純が座ったのを確認してドアを閉じる。フロントの前を横切って、運転席に乗り込んだ。
一気に身体の汗が引く。さすが沖縄、冷房の設定が半端なく低い。
「寒くない?」
隣を覗き込むと、ガイドブックを鞄から出そうとしていた真純が大きく頷いた。
「寒い、です」
「だよね。冷房の設定温度上げよう」
「はい」

意外にも地図が読める真純にナビを頼み、幹線道路から少し逸れた場所の店にたどり着いた。
こじんまりとしたその店はちょっと分かりにくい場所にあることもあって、観光客より地元お客さんの方が多い。看板メニューのゆし豆腐のセットを二人分頼む。そして
「お待たせしました」
「っ!」
独特のアクセントで届けられたそのボリュームに、真純が大きく目を開いた。思った通りの反応に、つい口角が上がる。
「さい……た、たくま、さん」
真純は自分で気付いて名前を呼び直し、少し頬を赤く染めた。
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