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例えば、こんな...
第10章 バカンス
飛行機の中で眠りに落ちる直前に、真純に名前で呼ぶよう約束させていた。ベッドの中でしか呼ばれないのもそれはそれで萌えるが。
「うん?」
「こんなに、私食べられません」
「だろうね」
一人前のトレーの上にはどんぶりから溢れんばかりのゆし豆腐。それだけでも真純は全部食べきれないだろう。あとは大きな茶碗に盛られたじゅーしーにサラダ、じーまーみ豆腐。
「俺食べるから、残していいよ」
「お、お願いします」
ホッとした様に目尻を下げ、ようやく真純が手を合わせた。
「いただきます」
「いただきます」

出汁の旨味とほろりとした口どけのゆし豆腐。豆腐の優しい甘みが実に旨い。
食べられないと言っていた割に、真純は七割近くを一人で食べきった。
「お腹一杯です」
「結構頑張ったね」
「ゆし豆腐初めてたべました。すごく美味しかったです」
キラキラの目で振り仰がれて、クラクラする。

俺は真純を喰いたいよ……

「気に入った?」
「はい」
ニッコリ笑うその顔が可愛くて堪んない。
「夜は沖縄料理の店予約してあるから、色々食べてみようね」
「はいっ」
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