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例えば、こんな...
第10章 バカンス
凹んだ感じが可愛くて仕方ない。

真純の右手から日傘を取り上げ、その手を俺の左腕に絡ませる。
「危ないから、ね」
笑顔を向けると勢いよく真純がまた下を向いた。見る間に耳も首も赤く染まってく。
「……ぃ」
聞き取りにくいほど小さな声で返された同意。
「ふふっ」
予想を裏切らない反応が可愛くて、つい笑ってしまった。

真純に日傘をかざしながら遊歩道を並んで歩く。途中柵ギリギリから崖下を覗き込んで、その高さと海の青さや透明度に驚いたりして。
ゆっくり遊歩道を回って車に戻った。

真純の手にはさんぴん茶。ジャスミンの香りと独特の渋味。口角を上げてラベルを見いる横顔はどうやらソレが気に入ったらしい。
「もう真っ直ぐホテルに向かって良い?」
顔を見たくて声を掛けると
「はい、お願いします」
思惑通り、こちらを向いてニコリと笑う。思わず左手を伸ばして頭を撫でた。
「たくまさん?」
不思議そうに首を傾げられて
「ね、真純、頬で良いから俺にキスして?」
つい意地悪をしたくなった
「えっ!?」
大きく目を見開いて、顔も首も胸元も赤く赤く染めていく。
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