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例えば、こんな...
第10章 バカンス
「そうなんです」
同じ様に口角を上げて返すと
「お似合いですね」
柔らかな笑みは俺にも向けられていて……少し、反省。
愛しい後ろ姿を視界に入れたままテーブルに向き直り、チェックインを済ませる事にした。

「真純」
部屋に案内してもらう段になって、声を掛けても真純は振り向かない。

そんなに気に入った?

ベルボーイに荷物だけ先に届けて貰えるよう依頼して、真純を迎えにテラスへ向かった。
隣に立って彼女の視線の先を探る。それは意外にも下にあるプールで。
「プール、入ろうか」
「良いですか?」
キラキラの目で振り仰がれた。
「良いよ」

チェックインしたもののまだ時間が早い。観光中の人の方が多いのか、プールには親子連れが一組いるだけ。ロビーにいる人も少ないし、あまり人目に晒さずに済みそうだから……

なんて事を一瞬で考えた狭量な俺に、真純は嬉しそうに笑った。
「やった」

ホント、可愛いんだけど……

部屋で着替えれば良いのに恥ずかしがって強固に嫌がる真純に折れ、更衣室で着替えてプールで待ち合わせる事になった。
当然先に着いたのは俺。
二つ並んだチェアに腰掛け、空を仰いだ。
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