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例えば、こんな...
第10章 バカンス
蒼い、なぁ……

パラソルの向こうに広がる紺碧の空。遥か上空を横切る飛行機雲。視界の端、遠い海の上には立ち上がる入道雲。
夏真っ盛り。
都心と違い高く広がる空に、日が沈んだ後を思って楽しみが増えた。

ふと視界の端に動く気配を感じた。
振り向いて、そこに立ち止まった真純に口角が上がる。淡いグレーの長袖パーカーに白の短パン。
すらりと伸びた素足に花の付いたビーチサンダル。

……あれ下、水着?

「止まってないで、こっちにおいで」
手招きすると真純ははっとしたように瞬きをして、次いで頬も赤らめて俯いてしまった。でもまっすぐ小走りに駆けてくる。

まぁ可愛いからいっか。

立ち上がって手を広げたのに、真純はますます顔を赤く染めてその前で立ち止まる。

そのまま駆け込んで来て欲しかったんだけど……
真純は恥ずかしがりだからな。仕方ないか。

手首を掴んで軽く引き寄せるだけで、大人しく腕の中に収まった華奢な身体。腰に触れてくる細い指先。ふわりと届いた甘い香り。

……っ

ドンッと心拍が上がった。

着替えただけ、だよな?
何を考えてそんなに甘く香る訳?
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