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例えば、こんな...
第10章 バカンス
「……立てる?」
「が、頑張ります」
蕩けたまま自信なさそうに揺れる瞳が可愛いくて、口元が緩む。
「…………分かった」

ダメもとで予約してあったレストランにもう一度電話を掛け、店側のご厚意で席を設けてもらうことが出来た。そう伝えると、真純が嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます」
ベッドの脇に腰掛けて、横たわる真純の頭に手を伸ばす。
栗色の柔らかい髪。するすると指通りが良くて、いつまでも撫でていたい。
「……ん」
気持ちが良いのか真純も目蓋を閉ざして、大人しくされるがままじっとしてる。

可愛いな……

触れていると欲が湧く。

ほんと、どーしよーもない

くしゃくしゃと髪を乱して気をそらした。
「支度、しよ?」
「……はい」

離した俺の手をそんな目で追うなよ。
折角我慢してんのに……

足はベッドサイドに残したまま上体を倒して真純の額に口付けた。
チュッと音を立ててすぐに離れる。それ以上は絶対止まれなくなるから。

頬を赤らめ、額を撫でながら真純がゆっくり起き上がった。
恥らんだ笑顔にヤられる。

あぁ、もう何でもいい
こうやって真純を眺めていたい。
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