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例えば、こんな...
第10章 バカンス
次いでライチを勧めると
「凍ってないライチ、初めて食べます」
そう言って嬉しそうに笑う。
頬の赤みは残るものの、少し落ち着いたらしい。
皮を剥いて冷凍モノとは違う、少し青みがかってみえる白く半透明な果肉に真純の口角が上がる。
「キレーイ」
「凍らせてないからね」
一口かじり付いて、もともと大きな目が更にもう一回り大きくなった。
「美味しい!」
生のライチの美味しさは冷凍モノとは比べものにならない。品の良い甘い香りとそれを裏切らない程よい甘味、爽やかな酸味。一度味わえばどんなに美味しい冷凍モノでも物足りなくなる。
顔を綻ばせたままライチを食べる真純。よほど気に入ったらしい。

これも帰りに買って帰るか……

真純の喜ぶ顔が見たい。
俺の行動規準はソレに尽きる。

完熟パイナップルの甘さにまた驚きの声を上げ、マンゴーの豊潤な香りと口の中でトロケる濃厚な味わいに実に嬉しそうに笑みを浮かべる。その一つ一つが可愛くて参る。
眺めてるだけなのに、気付けばかなり酒が進んでた。
「ご馳走さまでした」
笑顔で手を合わせた真純を連れ、代行を頼んでホテルに帰り着いたのは割りと良い時間。
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