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例えば、こんな...
第12章 女子高生と先生と #2
「どうした?具合、悪い?」
俯いたまま動けない私に斎藤先生が心配そうに声を掛けてくれたけど、近付いては来てくれない。
開いたままの距離に泣きたくなってギュッと固く目を閉じた。

大丈夫、大丈夫

心の中で繰り返し、ふぅと大きく息を吐く。
何が大丈夫なのかよく分からないけど、取り敢えず涙が滲むのは防ぐ事が出来た。
ゆっくりと顔を上げて。
「大丈夫です。……お忙しいところ、スミマセン」
斎藤先生と目を合わせる事が出来ずに、また頭を下げる。
「いや、そんな事河合は気にしなくて良いよ。具合が悪いんじゃないなら良いんだ」
視線を外した視界の中でも斎藤先生が笑ってくれたのが分かった。
「喉、渇いてない?そこに立ってないで奥においで。コーヒーか紅茶しかないけど、出してあげられるから」
奥のテーブルにはさっきまでいた生徒たちが飲んだと思われるグラスがお盆に纏められていた。
「あ、いえ、大丈夫です」
「まぁ、せっかく来たんだし」
そう言ってもう一度誘ってくれたけど。私は頭を左右に振ってそこに留まった。
「本当に、大丈夫です。この前のお礼を言いに来ただけなので……」
それはここに足が向いてしまった時、自分にした言い訳。
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