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例えば、こんな...
第12章 女子高生と先生と #2
コポコポと電子ポットがお湯を沸かす音がする。
さっきお湯の大半を使ったからと、わざわざお水を入れ換えて新たにお湯を沸かしてくれてる。
「氷入れる?」
「いえ、大丈夫です」
私は夏でも温かい物を飲むようにしてる。
「何か食べる?」
差し出されたのは一つ一つ個包装されたクッキーやチョコの入った白い籠。
「さっきの子達が持ってきた残りで悪いけど」
「あ、いえ……ありがとうございます」
お腹は空いてないのに、何となくそのお菓子を斎藤先生に食べてもらいたくなくて。中からチョコの包みを取り出した。
「いただきます」
「ん」
少し口角を上げて箱をテーブルに下ろす。それから私は言葉に詰まって時々お菓子を戴いたけど、斎藤先生は最後までそのお菓子に手を伸ばす事はなかった。

「河合はさ、進学どうするの?」
斎藤先生に聞かれて答えに迷う。
「大学には行きたいと思ってるんですけど……将来の事はまだ具体的に考えられなくて……」
将来何になりたいのか、どんな事をしたいのか、考える前に壮ちゃんが病院を移る事が分かった。
転入試験は落とせない。必死に全教科を総復習して、無事合格したからここにいるのだけど。頑張った分、受験勉強も終わった様な気持ちになってしまって。余計考えられずにいた。
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