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例えば、こんな...
第12章 女子高生と先生と #2
「まぁなぁ……将来何になりたいかなんて、そう簡単に決まらないよな。あ、紅茶で良い?」
「はい、ありがとうございます」
テーブルに新たなマグカップを二つ用意して、一つにインスタントコーヒーを、もう一つには紅茶のティーバッグを入れてくれる。
斎藤先生の手は大きくて、長い指は壮ちゃんほどゴツゴツしてないけど、ちゃんと大人の男の人の手をしている。スラッとした千佳ちゃんの手とは全然違う。
つい、手の動きを目で追ってしまう。
「化学を選択してるのは、理数系が希望?」
斎藤先生の問い掛けに、ドキッと心臓が跳ねた。慌てて視線をお菓子に移す。
「あ、いえ……」
高三年の授業で、受験に関係ない科目を選択する子なんていない。でも、私はそうじゃない。
「受験に必要かどうかじゃなくて、化学は好きで選択したんです」
やりたい事が見付からない私は好きな教科を選択した。一年もないけれど、少し専門的に学んだらやりたい事が見えてくるかもしれないと思ったから……
「化学好きなんだ?」
「はい。日常のふとした疑問が解けると嬉しくて……」

海が青いのは空が青いからだと思ってた……

「それに、小さい頃から理科の実験が好きだったんです」
「……ふうん」
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