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例えば、こんな...
第12章 女子高生と先生と #2
「高校の授業じゃたりなくて、大学は理工学部。教師になりたいって思ったのは大学二年の半ば過ぎてからかな。ふっとこの楽しさを伝えたいって思ったんだ」
そう言って斎藤先生は一旦口を閉ざした。マグカップを手に取り、コーヒーを飲んで少し表情を改める。
「俺はね河合、知りたい事や学びたい事、興味を持って進学出来るのが一番だと思ってる。大学に限らず短大でも、専門学校でも、ね。幾つになっても学ぶ事は出来るよ。でも若い今だから、学ぶ事そのものを楽しんで欲しい。進学するならそういう所を目指してもらいたいんだ」
斎藤先生の真っ直ぐな眼差しに、自然と姿勢を正していた。
「職業の選択は、その先でも良い。なりたいモノによっては、受験し直す必要があるかもしれない。それには手間もお金もかかるし、覚悟もいる。簡単な事じゃない。でもそこで迷ったり、悩んだりして決断する経験は絶対人生の糧になる。何度でもやり直せるなんて事は言わない。でも、挫折も無駄にはならない。
大切なのは自分で考えて答えを出す事。何も無理して頑張れと言ってる訳じゃない。河合の人生は河合が選ぶんだ。河合がしたいようにして良いんだよ」
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