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例えば、こんな...
第12章 女子高生と先生と #2
やりたい事を見つけられず、好きな教科を選択しただけで立ち止っていたけれど、斎藤先生の言葉にそうやって悩んでいる時間も無駄ではないと言ってもらえた気がして。燻っていた引け目の様な感情が少し楽になっていた。
「河合は化学が好きって言ってくれたけど、他に何が好きなの?」
「こ、国語です」
「国語?」
試験科目は国語だけど、授業のくくりに『国語』はない。聞き返されて何となく恥ずかしい。
「……はい」
「何で現代文とか古文じゃなくて『国語』なの?」
でも、そう聞き直してくれる斎藤先生の顔は至って真面目で。私をちゃんと知ろうとしてくれてる様に思えて嬉しくなる。
「あ、の……日本語、が好きなんです」
「日本語?」
「はい……日本語です。平仮名も片仮名も漢字もあって……一つの言葉でも表記によって受ける印象が違ったり、漢字も漢文をそのまま取り込むだけじゃなく、日本独自の読みもあったりする事とか、繊細な表現がたくさんあって、擬音語や擬態語も豊富だし……俳句とか短歌とか限られた字数の中に豊かな世界を作り上げる事が出来たり、あと方言も本当に様々で、色んな事が面白くてっ……」
そこまで一気に話して、途中から一人夢中になっていた事に気が付いた。
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