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例えば、こんな...
第3章 御礼
拓真くんと二人で逢えるのが嬉しくて、楽しみで大急ぎで答案用紙をまとめて持って帰ってきたから、結構な量がある。拓真くんの前で採点出来ないから、今日は夜更かし決定。
でも、それくらい頑張れる。幸い明日は土曜日だし……

ポーンと音がしてエレベーターが止まった。

東の突き当たりまで廊下を歩く。

……ドキドキしてきた

ドアの前で深呼吸。
自分の家なのに、緊張する。
インターホンを押して、待っていると応答の前にイキなりドアが開いた。

え?

驚く間もなく、中に引っ張り込まれて
「真純ちゃん、お帰りなさい」
拓真くんの優しい声。勢いのまま玄関に倒れ込んだところをキュッと抱き止められた。
耳にチュッとキスが降ってきて
「ひゃん!」
ゾクッとする。
「早いですね」
そう言って拓真くんがクスリと笑った。
「まだご飯出来てませんけど?」
何事もなかったように腕を解いて覗き込んでくる、甘い眼差し。目が合って頬がかぁっと熱くなる。

近い、近い、拓真くん近い!

思わず一歩後ろに身体を退こうとして
「逃がしませんよ?」
にっこり笑顔で腰を引き寄せられてしまった。
密着する身体が熱い。
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